チェコの億万長者であるDaniel Kretinskyは、負債に苦しむフランスのスーパーマーケットチェーンCasino (CASP.PA) に対して、11億ユーロの増資による買収を提案した。この動きは、カジノとより小規模な小売業者であるTeract (TRACT.PA) の合併案に挑戦するものである。

Kretinskyの11億ユーロの増資案

買収が成立すれば、Kretinskyは近年存在感を増しているフランスの 「Franprix」 や 「Monoprix」 などの有名小売ブランドの経営権を獲得することになる。カジノ経営者のJean-Charles Naouri氏 (74歳) にとっても出口戦略となる。

さらに、Fnac Darty (FNAC.PA) の主要な出資者はKretinskyであり、カジノのeコマース小売部門であるCDiscountはFnac Dartyのターゲットであると考えられているため、Kretinskyの動きはFnac Dartyの注目を集めるかもしれない。

この10年間、Kretinsky氏は小売業、メディア、その他の分野に事業を拡大してきた。彼のポートフォリオには、フランスの新聞社Le Monde、フランス最大の民間テレビネットワークTF 1の株式が含まれており、メディアグループVivendi (VIV.PA) と出版グループEditisの買収交渉を行っている。

Kretinskyの提案を受けて、カジノの株価は月曜日に3%上昇した。これは、格付け会社のMoody’sが長期債の格付けをさらにジャンクな領域に格下げしたことで記録的な安値を記録した後のことである。現在、カジノの市場価値は約7億ユーロである (2014年は110億ユーロ) 。

2024年と2025年に満期を迎える約30億ユーロの負債を抱えたカジノは、債務返済義務を果たすためにブラジルの事業であるアサイの株式を含む資産を売却してきた。

Kretinskyの提案は、カジノがフランスの小売事業を、同じく億万長者のXavier Nielが支援するTeract社と統合する独占交渉を行っている中で行われた。

Groupement Les Mousquetaires、合併交渉に参加

フランスのスーパーマーケットチェーンCasinoは、Intermarcheの親会社Groupement Les Mousquetairesを含むいくつかの団体と合併の可能性について協議していると発表した。

これとは別に、大富豪であるDaniel Kretinskyが所有するチェコの企業EP Global Commerceは、11億ユーロ相当の増資を引き受ける提案を行った。提案された取引では、Kretinskyの事業体が最大7億5000万ユーロの留保増資を引き受け、カジノの第3位株主であるフィマラックが最大1億5000万ユーロの株式売却を引き受けることになる。既存株主は残りの2億ユーロを受け取る。

関係者2人によると、今回の増資でKretinskyが40%以上の株式を保有し、筆頭株主となる。この提案は、カジノの負債を現金で買い戻し、それを株式に転換するもので、支配権の変更や既存株主の希薄化につながる可能性がある。

この取引にはカジノの債権者との合意も必要で、債権者は約36億ユーロの無担保債権を保有している。

買収条件によると、負債は株式に転換されるか割引で償還され、カジノのバランスシートの大幅な改善につながる。同社は、銀行債権者や債券保有者との協議を監督するため、裁判所が任命した調停人を求めることを検討しているという。

一方、EP Global Commerceの提案を今後数週間かけて評価し、TeractおよびGroupement Les Mousquetairesとの協議を継続する予定である。

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